【アカペラ】細かい「目盛り」を武器に、難しいフィルインを攻略しよう!
この記事は、アカペラアドベントカレンダー2024 8日目の記事です。
こんにちは。ヴェルディと申します。大学入学とともにアカペラを始め、はや11年目になりました。最近は、ハスノウテナやファンキー玄白などのバンドで、主にベースとして活動しています。
社会人になって、いわゆる「難しい楽譜」を演奏することが増えました。その中で、特に難関なのが、フレーズ終わりなどに登場するフィルインです。楽譜を一見しただけではどう演奏したらいいのかさっぱり頭に入ってこないし、音源を聴いても一瞬で過ぎ去ってしまう。そんな難易度の高いフィルインを、僕がどうやって攻略しているかを紹介したいと思います。普段ベースやボイパを担当する人もそうでないような人も、リズム感向上のためのきっかけをつかんでいただけたら嬉しいです。
必読の本
長いことアカペラを続けてきた中で、(アカペラに特化した本ではないのですが)僕がとても影響を受けた本を1冊ご紹介します。
ベーシストにとって一番大事なのはリズム感である、リズム感は習得し、改善し、向上することができる、という信念のもと、コンセプト編とトレーニング編に分けてみっちり指導してくれる本です。今回は、この本に記載がある内容をほんの一部ですがご紹介しつつ、フィルインを攻略していきたいと思います。
体内に「目盛り」を持とう
突然ですが、「白紙に、 4mm の間隔で点を打ってください」と言われたら、あなたはどうしますか? もちろん、定規を使いますよね。その際、 定規の最も細かい目盛りはどれくらいの間隔でしょうか? おそらく 1mm のものを使うと思います。 1cm 間隔でしか目盛りが書かれていない定規だと、 4mm 間隔で正確に点を打つことはできませんね。
それと同じことを、音楽でもやりましょう。 楽譜で出てくる最も細かい(短い)音符と同じ間隔で、常にリズムを刻むのです。あなたがベースの担当で、ボイパが常にその細かい間隔でリズムを刻んでくれているなら、ボイパの演奏をよく聴くのも手です。
その上で、例えば目盛りが16分であれば、「付点8分は3目盛り分」などと考えて、難しいフレーズを分解していきます。(可能であれば、もちろん32分や64分で刻んだ方がリズムの正確性は上がると思いますが、無理のない範囲から始めていきましょう。三連符とかが出てくるとまたレベルが上がりますが、一旦そういうのは置いておきます。)
いきなり演奏中にやるのは難しいと思うので、まずは楽譜に線を引くところから始めてみましょう。
ゆっくりやってみる
線が引けて、それそれの音符の長さがわかったら、次は 一旦音程のことは忘れて、正しいリズムで音符を叩けるようになりましょう。
この時に大事なのは、とにかくゆっくりやること。上で決めた目盛りを指で叩きつつ、それぞれの音符が目盛り何個分なのかを確認していきましょう。間違えずにできるようになったら、少しずつスピードを上げていきます。
「ゆっくりやる」ということに関しては、『ずっしーの音楽教室』で有名なずっしーさんが、幾度となくつぶやいてくださっています。
https://x.com/zussie_piano/status/1506236147269181441
楽器の練習って究極的には「分解」して「ゆっくり」やる、の二つで大体全て解決すると思う。どんなに難しそうな動きでも一部を取り出して冗談かというくらいに遅くして弾けば、少しずつ無意識に弾けるようになっていく。焦って一気に完成形をやろうとさえしなければ、確実に着実にゴールに向かえる。
https://x.com/zussie_piano/status/1232245686734737408
速いフレーズを弾くために必要なのは実は「速く弾く練習」ではない。不思議なものでゆっくりと確実に一つ一つの動作を染み込ませるという練習こそが一番の近道。何度も繰り返した動きはやがて「何も考えずにできる」ようになり、それによって生まれた「処理能力の余裕」が速さを可能にするイメージ。
ここまできたら音程をつけても大丈夫なはず!
インテンポでフレーズを演奏できるようになったら、音程をつけてやってみましょう。これもまだ難しいなと思ううちは、テンポを落とすところからやってみると良いです。急がば回れ。
実例を挙げてみる
手前味噌で恐縮ですが、実例を挙げてみます。
https://www.youtube.com/watch?v=dmKaYtW2QPw&t=85s
ハスノウテナというバンドで演奏した動画なのですが、上記リンクを再生してもらうと、その直後にベースがこんなフレーズを演奏していると思います。
(いや一瞬すぎてわからん! という人は、ちょっと大変ですがピアノアプリを出してきて、リズムはメチャクチャでいいので一回弾いてみてください。その上で動画を聞いてみるとちょっとはわかるかも。わかったら嬉しいです。)
このフレーズを正確に演奏することを目指してやってみましょう。
まずは、目盛りとなる音符の長さを決めましょう。この範囲だったら、最も細かい音符の長さである16分音符で良いかと思います。
それでは、この範囲の中で特に難しそうな後半部分に、16分単位で線を引いてみます。こんな感じ。
正直見やすいとは言えない感じになりましたが、自分で目盛りを振ってみると良いと思います。
ここで楽譜を観察してみると、16分音符3つ分を単位として繰り返しが出てきているのがわかるでしょうか?
ド ラ ミ シド ソ ララ
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太字にした部分をみると、16分音符3つ分の間隔で音符が配置されていることがわかります。
こういう分析をちょっとずつしながら、フレーズを「理解」していくと、体得が速くなると思います。
おわりに
フィルインの攻略法について解説してきました。今回わかりやすい題材としてフィルインを用いましたが、リズム隊をやることがない人も、これで「漫然と長い音符を伸ばす」ことがなくなると思いませんか? コーラスはコーラスで、リズム隊とは違うリズムの感じ方が求められることもあるかとは思いますが、結局やっていることは同じです。目盛りを駆使して、良いリズム感を体得しましょう!